すっぽり

すっぽり。
 
この表現にすべてが表されている、そんな格好。俺がぎゅってすればぎゅって服を握りしめてきて、もうこいつ可愛すぎる。年上だなんてこと、忘れるくらい。怯えるべき存在だなんてこと、さっぱり忘れてしまうくらい。在り得ない程可愛い。こうしてると、本当子供っぽいと思う。調子に乗ってぎゅうぎゅうしていると、いい加減にしろと言って雲雀は俺の横腹に思いきり爪を立てた。「いってぇ!!」思わず声を上げる。すると、「ふぅん、ここ痛いんだ・・・」。予想外に好奇心を示してきた。そしてずいっと身を乗り出してきて、外見天使で内面悪魔、とでもいうような表情でにこりと笑った。横腹には冷たい、雲雀の指の感触があった。・・・・・・・・・・・やばい。逃げなきゃやられる。いや、逃げられない。雲雀がのってる。これはやばい。とにかくやばい。
 
そして次の瞬間応接室には、何かの断末魔のような叫び声が響き渡ることになる。