一球入魂、どこでも全力。そんな生活がしたかった。そんな仲間が欲しかった。


野球に全力。食事に全力。遊びに全力。授業のときは、寝るのに全力。たまにとんでくるチョークの音を聞き分けてキャッチするのにも全力。真面目にやることに関してはもちろん、ふざけてやるような、どんなにばかばかしいことにだって常に全力。笑うのだって一生懸命だし、涙を流すのも全力でやってきたからだ。全身全霊。猪突猛進。先のことを心配して足止め食らうぐらいなら、今を全力で進み続ける方がいいじゃんか。笑われたって構わない、俺は俺のためにやってるんであって、今走ってるのだって自分のため以外のなにものでもないのである。仲間のため?そんなのじゃない、俺が今を存分に楽しんで、勝利をただ純粋に目指して、まあ結果としては仲間のためってことにもなるかもしれないけど、それでもそれはやっぱり自分のためにやってきたことの付加価値、それだけのこと。こんなこと考えてるのとか、俺って馬鹿かな。でもいいんだ、変化球よりストレート、フェイント無しで一発勝負、今楽しまずにいつ楽しむ!!必死でホームに滑り込み、砂ぼこりを撒き散らし、それとほぼ同時にキャッチャーのミットに収まったボールと審判の顔を見比べる。息が上がっている。一瞬の間。ごくりと息を呑む。「セーフ!!6-7、ゲームセット!!」、その声を聞いた瞬間、俺は拳を突き上げた。


嗚呼、青春って素晴らしい!!

リライト